思考の足あと~Andanteで進もう~

小学校教員。国語、視聴覚、情報、図工、生徒指導。4人の子供を育てながら、料理時々コントラバス。努力なくして成功なし!〜The only time success comes before work is in the dictionary.〜

国語教育の問題点を見つめる

新年度がはじまった。自分にとってすごく挑戦的な一年間になると確信している。この2日間は、自分が何をどうすればいいのか分からず、右往左往してしまった。まずは、したいことを決める作業からだな。先行論文も読みたいし、国語教育に焦点を絞るのか、日本全体の教育課題に目を向けるのか悩む…。

 

考えても始まらないから、家にある本を片っ端から読んでみることにした。まずはこの本から。

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先ほど、アマゾンで画像を確認していたら、「最後にこの商品を購入したのは2016/8/15です。」という表示が出てきた。もう5年前になるのか…。だいぶ寝かしてしまったな…。

 

国語教育の課題

有元秀文氏は国語教育の問題点を次のように整理している。

1 長時間かけても文章を理解できるようにならない

2 論理的な文章が書けるようにならない

3 スピーチやディスカッションができるようにならない

4 国語や本が好きにならない

5 クリティカルリーディングができるようにならない

6 課題を解決できるディスカッションの力が育たない

7 ほかの教科の役に立たない

8 社会に出たときに必要な国語の力が育たない

「まともな日本語を教えない勘違いだらけの国語教育」目次より引用

すべての項目に感想を書くことはできないのでその中から2つに絞って、自分の考えを整理してみたい。

 

1 長時間かけても文章が理解できるようにならない

その理由として、「作中の登場人物の気持ちばかりを聞く授業」「段落ごとに分けすぎて全体が見えない授業」を例に挙げて説明しており、とても納得した。「綾は広島に来てどう思った?」「川を眺めながらどう思った?」「おばあちゃんの話を聞いてどう思った?」と、そればかりを尋ねると、『しらねぇよ…。わかんないよ…。登場人物の気持ちを考えて何がしたいんだよ…。』と感じる子どもたちの様子が想像できる。気持ちを聞くことの目的は何かと考えてみると、文章を正確に読むことができているか、そこからどんな解釈ができるかの2つが混在していることが分かった。自分の教室での様子を思い返してみても、確かに事実を書いている子と解釈を書いている子のどちらもいたなと思い、自分の発問や指示が明確ではなかったと実感した。

 

2 論理的な文章が書けるようにならない

論理的な文章には型があることを授業ではあまり取り扱っていない。子どもたちはどのように書けばいいのか、そのモデルが少なすぎると分かった。有元氏は論理的な文章の型として、

意見文:主張→理由、問題→解決、前提→結論

説明文:原因→結果、結果→原因、時間の前→後、上位概念→下位概念、比較(共通点と相違点)

「まともな日本語を教えない勘違いだらけの国語教育」P.108より引用

と書いている。この構造を教員が把握して示すことで児童に視点が与えられると分かった。これまでの自分の教育実践では、説明文の学習でこの構造が頭になかった。何となく段落同士の構成を確認していただけだった。こうやって明確な手がかりを示しておけば、児童も自分自身も分かりやすく短い時間で構造をとらえられたのではないかと反省した。せっかく買った本、もっと早く読んでおけばよかった。

 

感想とこれから

この本を読みながら、「確かに。」「なるほど、わかる。」と共感し、「でもどうすればいいんだろう…」と悩んだ。 国語の授業って一日に一時間毎日あるから、自分の授業スタイルを作るうえで一番大きな要素を占めている。その大部分を占める国語が、『何となく登場人物の気持ちを聞いておこう』『この段落から分かったことをまとめてみよう』など、思いつくままに進めていくのは実にもったいない。目標を具体的に設定することや、どうしたいか、どうなるのが良いか、教師側が具体的なモデルを念頭に置くことが大切だ。

 

以前、〇〇大学付属小学校の校長先生を講師として呼び、国語科の授業づくりについて話を聞いたことがあった。その中で、

「児童が授業の中でとても素晴らしい意見を発表したとしても、教員側がその発言を想定していないければ、取り上げて価値づけてあげることはできない。何を言っているのかよく分からないなと思い、さらっと次の児童を指名してしまうと思う。子どもの反応や発言を想定しておくことがどれだけ大切か。」

という話をしていた。教員側の課題意識、問題意識がはっきりしていないと、せっかくの児童の発言が埋もれてしまう。それはとても悲しくてもったいない。

 

この本を読んで心に残ったこと、参考したいと思ったことは次の2点だ。

・国語として、正確な読解と解釈、そしてパーソナルリーディング(自分の意見を持つ)ところまでの1つのまとまりとして単元を構想すること

・身に付けるべき力を明確にしてから戦略的に授業を行うこと

【例えば「ごんぎづね」だったら】

あらすじを把握する力をつけるために、場面ごとの内容をとらえる1時間にしよう。

主題をとらえるために、物語全体を通して読者に伝えたいことを見つける1時間にしよう。

 

 まとめ

最初からたくさん書くと負担になりそうなので、もっともっと軽くまとめていかなけらばいけないな。この文章を書くのにかかった時間は1時間!文字入力の誤字が多いから、タイピングの練習もし直したいよね。

 

まともな日本語を教えない勘違いだらけの国語教育

まともな日本語を教えない勘違いだらけの国語教育

  • 作者:有元 秀文
  • 発売日: 2012/10/01
  • メディア: 単行本